声楽編②声楽家にふくよかな方が多い理由


先生は昔、猫背でほっそりしていたそうです
10年くらいかけて今の声楽家体型
なっていったとのことでした


体力をつけるために「肉食」にした
というのも体を大きくすることに
つながる重要なことだと思うのですが


それだけでは
あの「後ろ姿」は説明できません


前回のブログで
肋骨がふわふわのベッドのようだと
お話させて頂きました


骨や筋肉がやわらかくなるには
筋肉が最大限伸び縮みすればいい


では先生の肋骨の
どの部分が一番動いていたか?
というと


背中の下部』


手を当てて
歌う姿勢をとってもらうと


「びよ~ん」って

横に広がるんです


では前も広がるかなと思って
触ると前は意外と広がらない
むしろ締めて使う感じでした


お腹を肋骨の中にしまい込むような
意識をされているとのことでした


これを理解するには
「横隔膜」というもの
を知る必要があります


ではこれを
専門的に説明して
みたいと思います


ちなみに横隔膜というのは
膜といいながら、筋肉です


筋肉は基本
骨から骨にくっつくのですが


横隔膜というのは
骨に始まるのですが
特殊な腱というものに
くっつきます


茶碗を逆さにしたような
形をしていて


肋骨や背骨から筋肉が始まり
茶碗の底の部分
腱中心といいます)
に終わります。


こういう構造なので
動きは下記のようになります


基本、横隔膜は2段階モーション


まず1段階目の動き
吸う息で肋骨や背骨についている
部分が腱中心を引っ張る動きです


横隔膜というのは
吸気筋、つまり吸うための筋肉に
なります


肋骨や背骨についている部分が
腱中心を引っ張ると


茶碗を逆さにしたような
形のドームの頂点の
腱中心は下方向に
下がっていきます


ある程度さがっていくと
腱中心は内臓にぶつかるので
下方の移動をやめて


2段階目のモーションに入ります


2段階目の動きは腱中心が
肋骨にくっついている部分を
引っ張るので動き


このフェーズで肋骨は
横広がりの動きに
変わります。


このまま横隔膜をゆるめて自然に
空気が抜けるか
腹筋で空気を吐き出すか


の2通りの戦略で
呼気をして呼吸を完成させています


これが通常の横隔膜の動きになります


これに先生がおっしゃっていた
お腹を肋骨の中に
しまい込むという動き


に当てはめて考えると


息を吸う前に、腹筋で
内臓をあらかじめ上方に
あげておいて


そのまま呼吸をすると
横隔膜は下方に下がれないので
1段目のモーションは飛ばして
2段階目のモーションのみで
肋骨は大きく広がっていきます


これを10年間続けると
先生のような声楽家の身体が
出来上がっていきます


ハイパフォーマンスに動く
肋骨の動きを支える下半身


これもある一定レベルを超えた
『せぼねのちから』があれば
歌いながら身につけていくことも
可能のように思います


一般の方より肋骨自体が大きく
たくましい下半身、
外人のようなお尻!


これが声楽家に
ふくよかな方が多い理由です


ただしこの内臓を上方に
何センチ動かせるか?
がポイントで


大抵の方は内臓を動かすことすら
難しいのです


肋骨が広がるくらい内臓を
上方に動かせるから


声楽家が
「逆流性食道炎」になるのも
納得でした


ちなみに先生の胃の場所は
通常より高い位置にありました


食べてから歌うともたれる
そうですが


そりゃ~そんなにパワフルに
上方に突き上げる内臓に食べ物が
入っていて、


食道もきっと短くなっているでしょうから
胃液も逆流しますよね?


ではまた次回☆

2019年02月23日